高気圧・低気圧の発生・移動・消滅

雄大積雲

この記事は、もともとは引っ越し前のサイトにて2021年5月8日に「高気圧・低気圧とともに用いられる表現」のタイトルでアップロードしていたものです。このたびサイトごと引っ越しするにあたり、細部に手を加えてアップロードし直しました。

今回は高気圧や低気圧の発生、移動、衰退などのドイツ語表現をみていきます。ていうか今回はいつにも増して表現の列挙が主体です。(あと、いつもですが今回もアイキャッチ画像は本編と全く関係ありません、ほんますみません…)

以下にあげるのはほんの一例ですし、そんなに特別な表現もありません。その多くは必ずしも気象学の専門用語というわけではなく、日常的によく使われるものがほとんどです。

あと、当サイト内の以下の別ページもご参照いただければと思います。

発生・発達

まず、単純に高気圧や低気圧が発生したことを表す語としては、 entstehen 「発生する」(名詞形: Entstehung (f. -/-en, 通常は単数) 「発生」)や sichAkk bilden 「形成される」が最も一般的でしょうが、明確な形をとって出現することを表す sichAkk aus|bilden 「はっきりとした姿で形成される」(名詞形: Ausbildung (f. -/-en) 「形成」)などが使われることもあります。

高気圧や低気圧の発達を表す表現としては sichAkk entwickeln 「発達する」(名詞形: Entwicklung (f. -/-en) 「発達」)が一般的ですが、 auf etwAkk über|greifen 「〜の上へ勢力を広げる」、 sichAkk aus|breiten 「拡大する」(名詞形: Ausbreitung (f. -/-en) 「拡大」)などのように、勢力範囲の拡大という形で発達が表現されることもあります。

停滞・移動

高・低気圧がどこかに位置していることを表す場合、まずは単純に自動詞 liegen 「位置する」を使用することが可能ですが、同じ場所への停滞、滞留の表現としては、 bleibenverbleiben 「留まる」など、またブロッキング高気圧などのようにその場にどっしりと腰を据えて動かない場合には sichAkk etablieren 「(ある位置で)安定化する」など、また頑として同じ位置から動かないことを表す場合には verharren 「居座る」など、実に様々な表現が可能です。

一方高気圧や低気圧の移動の表現としては、まずは動詞 ziehen 「進む」(名詞形: Zug (m. -(e)s/Züge)「移動」)を使用するのが最も一般的ですが、他にも durch etwAkk durch|ziehen 「〜を横切って通過する」(名詞形: Durchzug (m. -(e)s/-züge)「通過」)や、 über etwAkk hinweg|ziehen 「〜の上を通過していく」などのように、前綴りを伴った動詞形で用いられることもよくあります。

これら以外では sichAkk verlagern 「移動する」(名詞形: Verlagerung (f. -/-en)「移動」)や、 den Schwerpunkt verlagern 「中心を移す(=移動する)」などもお馴染みの表現です。これらは高・低気圧以外にも、気団 Luftmasse (f. -/-n) の移動などに使われることもあります。

高・低気圧や前線の到達については an|kommen 「到着する」、 erreichen 「到達する」などのように一般的な表現が普通に使えます。どれも専門用語ではなく一般的な意味の表現ばかりです。

土地を主語にした構文

他には gelangen にも到達の意味がありますが、この動詞には土地を主語にした以下のような用法も時折見られます。

VERENA zog nordostwärts nach Schweden und Deutschland gelangte auf die Rückseite.


ドイツ気象局の気象ブログ Thema des Tages の2020年7月8日: Windiges Wetter mitten im Hochsommer – Woran lag das? (真夏のさなかに強風の天気―その原因とは) より

[和訳:(低気圧)フェレナはスウェーデン方面へと北東進し、ドイツは後面に入った。]

ここではドイツが移動してどこかへ到達したわけではもちろんなく、単に低気圧の後面という状態下に入ったことを示しているに過ぎません。

ついでながら、動詞 gelangen でよく見られるのは、空気、気団を主語にした、以下のような構文です。

Mit der Nordwestströmung gelangt am Wochenende Meeresluft polaren Ursprungs nach Mitteleuropa.

ドイツ気象局の気象ブログ Thema des Tages の2017年11月18日: “Zyklonale Nordwestlage”(「低気圧性の北西風型」) より

[和訳:北西の気流とともに、週末には極地方生まれの海の空気が中央ヨーロッパ方面へと到達する。]

到達する場所の表現としては前置詞 nach etwDat 以外にも zu etwDatin etwAkk などいろいろな表現が使えるようです。 Verena で始まる上の例文では auf etwAkk という前置詞句が使われています。

話をもとに戻しますが、同様に土地の方を主語に置く構文としては sichAkk befinden 「位置する」を使用した以下のような言い方があります。こちらも結構よく見かける構文です。

Schon seit Tagen befindet sich Zentraleuropa an der Ostflanke des Hochdruckgebietes LAJANA, das seinen Schwerpunkt vom Nordatlantik zu den Britischen Inseln verlagerte.

ドイツ気象局の気象ブログ Thema des Tages の2015年9月7日: “Antizyklonale Nordlage” (「高気圧性の北風型」) より

[和訳:すでに数日前から中央ヨーロッパは、中心を北大西洋からブリテン諸島へと移した高気圧領域「ラヤナ」の東側に位置している。]

衰弱

高低気圧の衰弱は sichAkk ab|schwächen 「衰弱する」(名詞形: Abschwächung (f. -/-en) 「衰弱」)という言い方が普通ですが、低気圧に限っては sichAkk auf|füllen 「衰弱する」という言い方がされることもあります。これは直訳すると「一杯に満ちる」という意味の再帰動詞ですが、例えば小学館版『独和大辞典[コンパクト版]』には5番目の意味として「(低気圧が)衰える」という意味が掲載されています (p.187) 。

実例を探したらこんな文がありました。

Während sich RUZICA dabei sukzessive auffüllt (der Luftdruck im Tiefzentrum steigt an) und den Einfluss auf Deutschland verliert, wurde an der Südflanke des weiträumigen Tiefdruckkomplexes ein kleines, aber sich stetig intensivierendes Randtief SUSANNA mit einem regelrechten Affenzahn vom Nordatlantik her kommend zum Ärmelkanal geführt.

ドイツ気象局の気象ブログ Thema des Tages の2016年2月9日: Auf RUZICA folgt SUSANNA und ein Hauch von Winter(ルツィカの後からスザンナが、そして冬の息吹が続く」 より

[和訳:その際低気圧「ルツィカ」が徐々に衰弱し(低気圧中心で気圧が上昇し)、ドイツでの影響力を失う一方で、広範囲の低気圧複合体(訳注:複数の低気圧の寄り集まった、範囲の広い低気圧領域)の南縁で小さな、しかし漸次勢力を強めてくる縁辺低気圧「スザンナ」が急速に(字義:全くの急速なテンポで)北大西洋から接近し、ドーバー海峡へと進んできた(字義:導かれてきた)。]

ここではわざわざかっこで括って、低気圧の気圧上昇のことだと説明してくれています。

多分ですが、これは低気圧の中心へ向けて気流が流れ込む→低気圧の中心の気圧が上がる→(低気圧が)「満たされる」→(結果として周囲との気圧勾配がゆるやかになって)「衰弱する」というロジックなのだと思います。

消失

完全な消失については sichAkk auf|lösen 「解消する」(名詞形: Auflösung (f. -/-en) 「解消」)以外にも、天気図上から消え去ることを指して schwindenverschwinden 「消失する」などの表現が使われることもよくあります。

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